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和漢方医薬について調べてみた。

和漢方医薬

僕のひいじいちゃんは富山で大工の棟梁をしていた人です。

ひいじいちゃんの家はとても広く、畏怖堂々とした雰囲気に包まれていていたので、幼い僕の目にはひいじいちゃんが神さまのように見えていました。日本の田舎特有の「男尊女卑」や「年功序列」という価値感も残っていたせいでもあるとも思うのですが、父や母や親せきのおばさんおじさんもみんなひいじいちゃんを特別な人として扱っている様子があったからです。

そんなひいじいいちゃんの家にはいつも漢方薬が常備されていて、風邪やぜんそく、腹痛、頭痛などなどなんでも漢方で治すことが当たり前でした。

今でも僕は無意識その習慣をつづけていて、風邪のひきはじめには「葛根湯」、季節の変わり目に発症するぜんそくに「小青竜湯」や「潤肺糖漿」などを薬局で買い求め飲むことがああります。あまりに身近だったため疑問に思ったことがなかったが、改めて和漢方について調べてみようと思いました。

和漢方薬の市場

近年の薬局業界は、保険適用の調剤薬と保険適用外の生薬などに分かれています。西洋医学に基づいた調整薬に対して、日本で使われる漢方薬は中国から伝わったものです。それを日本独自に発展させたものが「和漢方医薬」です。

そんな和漢方薬ですが医療用薬品における漢方薬市場は約1.6%といわれ年々減ってきています。反対に一般的な調剤薬の市場はドラッグストアが増えたり、通販で購入することができたりしてどんどん増えていおり、厚生労働省の発表では、調剤薬局が平成元年の30,000件から2021年現在には60,000件を突破しているとありました。(関連記事:ジェネリック医薬品業界について調べてみた

しかし漢方薬も私がドラッグストアで簡単に購入できるようなエキス剤(最初から組み合わせや分量は決められている)は増える傾向にあります。

一般的な薬剤師と漢方の薬剤師の違い

薬剤師になるには国家試験を合格しなければなりませんが、漢方薬の薬剤師になるために必要な資格はありません。

医師の処方箋に基づいて調剤をおこなう一般的な薬剤師に対して、漢方薬の剤師は自らの判断で処方することになります。よって個人の診察にかける時間が長くなったり、患者に寄り添ったりすることが多くなります。

本来漢方薬は漢方理論に基づいて、さまざまな生薬を組み合わせ、人や症状を診て個別に作られるものなので、専門的に学んだり、 漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を取得することは実務上必要になるでしょう。

和漢方を学べる大学

富山大学の「和漢医薬学総合研究所」では日本唯一の伝統医薬学の研究所として、国立大学法人唯一の医薬系研究所として、漢方という伝統医薬学を科学的に研究している機関があります。富山大学には薬学部 和漢薬コースがあり、全国からやってきて漢方の研究を目指す学生も少なくありません。富山大学周辺にはそんな学生が住みやすい環境も整っているのです。(参考▷富山大学学生マンション

漢方薬・生薬認定薬剤師の資格

漢方薬・生薬認定薬剤師になるには、日本生薬学会と研修センターが実施する研修参加と試問に合格する必要があります。さらに資格は1年間有効で、認定更新のためには単位習得が必須になります。

公益財団法人 日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師になるには

漢方の今後の課題について

漢方薬は西洋学と比べ臨床研究による科学的評価が低いため、今後は最新鋭の技術を用いて科学的エビデンスを研究していく必要があるでしょう。また、一般の調整剤との併用やその有効性、安全性ついても体系化してゆくことが求められています。

漢方薬の原料が地球環境や生態系の変化によって今後どのように影響してゆくかも課題の一つとしてあげられるのではないでしょうか。

和漢方医薬について調べてみて

漢方薬は今後後期高齢化が進む日本において、私たちの健康な生活にマッチする医療として発展していくべきなのではと思いました。

ひいじいちゃんの家が取り壊されることになって、僕は久しぶりに富山にきました。富山といえば日本の「薬」文化の中心地です。100歳まで生きたひいじいちゃんはこの漢方で健康を保ち、強い威厳をもって、みんなのために長生きしてきたんだなぁと感じました。ひいじいちゃんが亡くなってから30年経ったけど、この家は本当に広く頑丈そうで、幼い時に感じたままでした。周囲にいた親戚も年老いたり、子どもたちが上京したりしてずっと空き家になっていました。

古民家として保存していきたいと思っていましたがそれもなかなかできず、僕もなかなかこれずにいました。
いつかこうした日が来ることは分かっていました。でもこうして最後にこの家をもう一度見れたことは本当に幸運だったと思います。

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